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12月 25, 2021

Technique

左上腹部を診察するとき、検者の頭の中に一番に浮かぶのは、脾臓が大きくなっているかどうかという問題であるはずだ。 検者は脾臓を触るつもりであるべきである。 脾臓を触知できないと思い込んで、その場しのぎの検査をすることは、脾臓の腫大を見逃す最良の方法である。 身体検査のこの部分へのアプローチは、脾臓が肥大しているという仮説に基づいて行い、仮説を確認する最善の試みが失敗した場合にのみ、これが誤りであることを確信することである。 検査者は、まず吸気時に患者の腹部を観察することから始めるべきである。 極度に肥大した脾臓では、脾臓の縁が左上腹部または下腹部、極端な場合には右上腹部を下降しているのが観察される。 脾臓が確認できない場合は、吸気時に左上腹部を聴診する。 検査と聴診は、腹部全体の診察の初期に行うのが最も効果的である。 左上腹部と左下肋骨の前方および側方を聴診し、脾臓の摩擦音(吸気と同時に聞こえる粗いひっかき音)を確認する必要がある。 脾摩擦は、吸気と関連する左上腹部の痛みまたは左肩上部の痛みを訴える患者、および左上腹部への最近の外傷を持つ患者において特に追求されるべきである

脾腫の左上腹部の触診は、さまざまな方法で行うことができる。 各検査者は自分がやりやすい方法を使い、常に全く同じ方法と順序で行うべきである。 標準的なアプローチは、間違いを避けるための鍵である。 脾臓肥大の触診は、患者を仰臥位にし、膝を曲げて開始する。 右手を使い、左肋骨縁のかなり下から、脾臓の縁を優しく、しかししっかりと感じ、押し下げ、頭側へ押し出し、離す (図150.1)。 この操作を繰り返し、左肋骨縁に向かうようにする。 患者が静かに呼吸している状態で、脾臓が左肋骨縁の下に感じられない場合は、左手を左側肋骨の後方に、右手を左肋骨縁のすぐ下に置く(図150.2)。 患者は検者の指示により、深く息を吸引する。 次に検者の右手は、押下、頭側、離床の操作を繰り返す。 この操作は、脾臓を見つけるか、脾臓の縁が感じられないと確信するまで、左肋骨縁の中央からさらに外側へ右手で行う必要がある。 脾臓の縁はしばしば “シャープ “であるが、”丸い “と感じることもある。 それでも脾臓が感じられない場合は、患者を右側臥位にして、検者が好む方 法で2つの方法(図150.3および図150.4参照)のいずれかを用いてアプローチす るべきである。 いずれの場合も、検者が位置についたら、患者が深く息を吸っている間に、同じ手の動きを繰り返す。

図150.1

右肋骨縁の脾臓縁だけを触診すると、縁を感じるほど低く感じないため、極端に大きくなった脾臓を見逃す可能性がある。 脾臓の触診は左肋骨縁のかなり下から手の動きで始めるとよい(さらに…)

図 150.2

これは脾臓触診の定番の姿勢である。 患者が鼓動すると、拡大した脾臓の縁が検者の指先まで降りてくる。

図150.3

患者を右横臥位にして、患者の前後どちらから検査しても最小限の脾臓肥大は発見できる。 ここに示した体位では、検査は図150.2とほぼ同様に行われます。

図150.4

検査者によっては、患者の後ろから、右横位で脾臓を検査する方が快適と感じる人もいます。 この場合、指は肋骨縁の上に “引っ掛けられる”。

これらの操作はすべて、検査者が自分の技術に自信を持っていれば、数分で行うことができる。 左上腹部の腫瘤が見つかった場合、それが脾臓でない可能性を考慮することが重要である。 脾臓の腫大と混同されやすい臓器は、左腎臓の腫大である。 腹部における位置、触診による “縁 “の特徴、吸気時の動きなどから、通常、肥大した脾臓を確実に特定するのに十分である。

これらのすべての操作で脾臓の肥大が確認できない場合は、最終段階として打診を行うことが適切である。 仰臥位と右側臥位の両方で、肋骨縁直下の左上腹部と左下肋骨縁を吸気と呼気時に打診する必要がある。 呼気時になく吸気時にある鈍痛は、吸気により下降した肥大した脾臓の存在を示唆しているはずである。 この場合、触診を繰り返し、この印象を確認する必要がある

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